あらすじ(ネタバレあり)
西暦2540年、「世界国家」では人間は人工子宮で生産・分類され、「ソーマ」という幸福薬が配給される。愛・家族・芸術・宗教は廃止された。不満を感じたら薬を飲む。全員が条件づけで現状を幸福と感じるように育てられている。
ベータ階級のバーナード・マルクスは微妙な疎外感を持つ。「未開保護区」に旅行した彼は、そこで世界国家の女性から生まれた「野生人」ジョン(シェイクスピアを愛する)を文明社会に連れ帰る。
ジョンはロンドンの快楽社会に衝撃を受ける。人々は深い感情もなく、苦しみを薬で消し去り、死も恐れない(死を「快楽的に」訓練されている)。ジョンはそれを「人間の尊厳の喪失」と感じる。
ジョンと世界国家の管理官ムスタファ・モンドの対話が哲学的核心。「苦しむ権利」「老いる権利」「神を信じる権利」をジョンは主張するが、モンドは「幸福のためにそれらを捨てた」と言う。ジョンは都市を離れ孤独に暮らすが、群衆に見物されてしまい、最終的に自殺する。
読みどころ
- 「管理された幸福」vs「苦しみを含む人間性」という今も続く問い
- 1984とは対照的な支配の形(恐怖ではなく快楽による支配)
- ソーシャルメディア・薬・娯楽社会への予言的批評