植民地主義文化衝突悲劇
崩れゆく絆Things Fall Apart
Chinua Achebe / ナイジェリア / 1958年 ・ 読了目安 200分
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白人宣教師が来る前、アフリカには文明があった。イボ社会の誇りと崩壊を描く、アフリカ近代文学の礎。
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あらすじ
あらすじ(ネタバレあり)
19世紀末のナイジェリア、イボ族の村ウムオフィアに、オコンクウォという強靭な男が生きていた。怠け者で失敗した父への反発から、彼は村随一の力持ちとなり、農業と戦士として名声を築く。しかし内なる恐怖——父のような弱い男になることへの強迫観念——が、彼を時に残酷にする。
転機は、オコンクウォが後見人として預かっていた少年イケメフナの処刑に参加したことだ。神託によって少年の死が決まった際、他の男たちが止めようとしたにもかかわらず、オコンクウォは「弱く見られたくない」という理由で自らイケメフナを斬る。その後、誤って長老を殺してしまい、7年間の追放の刑を受ける。
追放先のムバンタで過ごす間に、ウムオフィアにはキリスト教宣教師と植民地政府が入り込み、社会構造が根底から揺らぎ始める。帰郷したオコンクウォは変わり果てた村に衝撃を受け、植民地支配への武力抵抗を呼びかけようとするが、誰も従わない。ついに彼は植民地の役人を殺し、イボの伝統的な儀式に従って木に首を吊って自死を選ぶ。しかしイボの習慣では自死は最大の恥であり、彼の遺体を扱える者はいない。物語の最後、イギリス人の地区長官は彼の死を「現地人の暴動鎮圧」の一節として植民地報告書に記録する。
読みどころ
- 植民地主義への反撃:「暗黒大陸」という欧米のアフリカ観を真正面から覆し、植民地化以前のイボ社会の豊かさと複雑さを内側から描く
- オコンクウォの悲劇性:父への反発が生んだ硬直した男性像が、変化への適応を妨げるという普遍的な人間の悲劇
- 文化破壊の構造:宣教師と行政官が意図せずともイボ社会の紐帯を解体していく過程が、冷静な筆致で描かれる
- イェイツの詩との対話:タイトルはW.B.イェイツの詩「再臨」からとられており、世界の秩序が崩れる予感と響き合う
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