哲学悪魔救済
ファウストFaust
Johann Wolfgang von Goethe / ドイツ / 1808年 ・ 読了目安 300分
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知の限界に絶望した老学者が悪魔と契約する。人間の魂はどこへ向かうのか。
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あらすじ
あらすじ(ネタバレあり)
天上では神とメフィストフェレスが賭けをする——人間ファウストを堕落させられるかどうかを。老いた学者ファウストはあらゆる学問を修めながら何も真に知ることができず、生への倦怠に苛まれ、自殺を試みる。メフィストフェレスは彼の前に現れ、地上では悪魔がファウストに奉仕し、ファウストが「この瞬間よ、止まれ、汝はあまりにも美しい」と言った瞬間、ファウストの魂を貰い受けるという契約を結ぶ。
第一部では、若返りの魔法を受けたファウストが純朴な少女グレートヒェンと恋に落ちる。彼女の母は睡眠薬で死亡し、兄ヴァレンティンはファウストに殺され、グレートヒェンは産んだ子どもを溺死させて牢獄に入れられる。ファウストは助けようとするが彼女は拒み、天の声が彼女の救済を告げる。
第二部(第一部から三十年後に完成)ではより神話的・象徴的な世界へと展開する。ファウストは古代ギリシャの美女ヘレネーと結ばれ、息子オイフォリオンを得るが、息子は空へ飛ぼうとして死ぬ。老いたファウストは最終的に干拓事業という「人類の幸福のための仕事」に理想を見出し、「この瞬間よ……」と言いかけたところで息絶える。しかし神は「常に努力し続ける者は救われる」という原則によってファウストの魂を天へ引き上げ、グレートヒェンの魂も彼を迎える。悪魔メフィストフェレスは賭けに負ける。
読みどころ
- 知識・快楽・権力・美の追求という人間の本質的な欲望を一人の人物の一生に凝縮した、西洋文学最大の叙事詩の一つ
- メフィストフェレスという悪魔の独特の造形——純粋な悪ではなく「常に否定する精神」として、皮肉な知性と人間性を持つ
- グレートヒェン悲劇——純粋な愛が罪と破滅に至る第一部の凝縮した悲劇性が、壮大な第二部と対照をなす
- 「努力し続ける者は救われる」という結末が示すゲーテの人間観——キリスト教的罪の赦しではなく、永遠の追求そのものへの肯定
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